安芸の宮島 2

宿屋の主人は旅好きで、一人旅大歓迎ということで、わざわざ老舗旅館の一角を改装して一人部屋をいくつか拵えている。

食事処も一人でも違和感なく落ち着いて座れる造りになっており、各食卓に仲居さんが付いてお世話をしてくれる。
年の頃は三十前か、若々しい「泉さん」といった。語り口も丁寧で、自然で、堅苦しくない。
旅先で必ず聞かれる「どちらから?」「◎県から」と答えると、なんと実家が◎県。隣町。あちらは特に嬉しいらしく「こんなに近くのお客さんは初めてです。」と口もなめらかになる。

夕餉は、
「平清盛」にちなんで、平安の食文化を歴史の資料を参考に、現代風に再現した膳というものを予約しておいた。
平安貴族が昔の宮中で食べたであろうとされる海の幸や山の幸をシンプルな味付けで、宮島の名物と共に楽しむ「平家御膳」

御酒   音戸華鳩の濁り酒
つぼ   萩和え
口取り  柿玉子 衣かつぎ 黒枝豆 蓮根煎餅 〆鯖の求肥巻 蟹琥珀寄せ  
造里   鮮魚盛合せ
焜炉   特選広島牛の味しゃぶ鍋
焼肴   牡蠣の西京グラタン
平    穴子の奉書巻
強肴   柿なます     
羹    薄味味噌仕立
御飯   牡蠣釜飯
須々保里 盛り合せ 
甘味   果物とカスタードクリームと椿餅
      
席に着くと、「泉さん」が「まずは一献どうぞ。清盛も飲んだかもしれません、どぶろくです」と塗りの片口銚子を傾ける。
音戸華鳩の濁り酒かわらけに注いでもらう。甘口で美味しい。
おや、このかわらけにも神紋が! 今気づいた。
かわらけはお土産に持たせてくれた。
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銚子はこんな感じ







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「ほかに何かお飲み物は?」
「ではビイルはあるかい?姐さん」
「はい、ビイルはアサヒの生と瓶、それと宮島ビイルがございますが」
「じゃあ、もちろん、宮島ビイルを」
「はい、ただ今」
「あとね、ビイルの後に、何かお勧めの地酒は?」
「はい、地酒も沢山ございます」
「じゃあ三本ばかり一時に持っておいで。どうだい、岩見重太郎が注文をするやうだろう」

・・・・・・驚かせました。泉鏡花「眉隠しの霊」のぱくりです。

ちょうど霜月半ばの旅宿での描写が、昔から大好きで、ついつい心の中ではこんな感じで居たもので。
(本では木曾街道奈良井宿が舞台です)

お膳の写真は少しだけ。

宮島麦酒を頂いて、
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次は悩んだ結果、広島の地酒を冷酒で品良く。
女性が1人で手酌というわけにはいかず・・・
        (こんな時、自分がおじさんだったら・・・と思う。)
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牡蠣の西京グラタンは甘くて特に好みだった。
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その昔、厳島神社に参詣する時、まずは温泉で身を清めてからでかけたそうだ。
温泉も平日のせいか時間が早かったせいかすいており、3人ほど。
ゆっくり浸かって、ゆっくり身支度をして、ゆっくり夕餉をとって、夜の神社へ。

地酒で体も暖まり、ちと飲み過ぎた感もあり翌日が心配だったが、ちょうど外は極寒(大げさ)で、酔いも適度に醒めた。
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屋形船に乗り、海から神社に向かう。
大鳥居をくぐる前に、船は拝礼のかわりとして、その場でぐるりと輪を描くように回る。
鳥居の左右に見える灯りは「百八灯明」といい、夜は灯籠に火がともされる。
本当に寒いけれど、いつまで見ていても見足りないような気持ちになる。
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Commented at 2012-11-17 10:35
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by i-meisui at 2012-11-17 11:39
>鍵コメさん
買いましたよ!たんまりと(^_^)v宅急便で送りました。
海も山も美しく、パワー充電できました。
by i-meisui | 2012-11-16 23:54 | 旅行 | Comments(2)

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